◆今回のハルカ様◆ |
全ての記憶を取り戻したハルカ様。その絶望に満ちた表情と、今まで知っていたのに黙っていたロボットさん達への憤りの表情は、どちらも辛いものではありますが印象に残っています。本当の事を言わなかった理由をスパイク君は説明しますが、それでも納得が出来ないハルカ様でしたが、お気持ちを考えれば納得出来ます。私自身も言葉に出来ないくらいの悲しい気持ちでした。 「もう生き残っている人間なんて居ない」「パパとママの側に居たい」「ここで死ぬ方が願ったり叶ったりだ」と、自分が一番望んでいた両親との再会が不可能ということを知ったハルカ様は、もうどうでもよくなってしまい、少しばかり自棄を起こします。しかし、ここでそんなハルカ様を説得するスパイク君に対して、言ってはならない言葉が不意に口を衝きます。 口では「家族」と言ってはいても、やはり心の何処かでは本当の家族ではなく、ロボットなんだと思っていたのでしょう。そんなハルカ様のお気持ちは良く分かるのですが、ある意味これは少々残念、というよりは寂しかったです。でも、14歳くらいの女の子が体験するにはあまりにも辛く悲しい出来事でもあるので、当たり前かな?とも感じます。あぁ、ハルカ様の心の痛みが和らげて差し上げたい…。 |
◆今回の堀江由衣さん◆ |
今回のハルカは出ずっぱりだったので大変だったのではないかと思いますが、「鉄コミュニケイション」という作品の最初の山場であり、大変重要な回だったので、遣り甲斐はあったと思います。実際、放映された「結果」を観てみて、「うん、良かったと思います」と言えるものだったのには、少しホッとしています。100点満点とは言わないまでも、80点以上であることは間違い無いでしょう。 演技云々を言うつもりは無いのですが、あくまで「ハルカというキャラクターが発する台詞」として観た場合に、「もう少しここは語気を強くした方が…」「ここはもっと悲しい気持ちが噴き出した方が…」等、感じる部分はありました。これは人それぞれ感じ方が違うので大きな問題では無いかもしれませんね。 それでも、私が今回一番のキーとなる台詞だと思った「ロボットのスパイク君に、私の気持ちが分かる筈なんてないよ!」は、完璧だったと思います。あの台詞は、番組のテーマに直結する部分でもあるので、一連のハルカの台詞の流れであの気持ちを台詞に乗せられた堀江由衣さんには頭が下がる思いです。 |
◆今回の見所、感想等◆ |
「ロボットのスパイク君に、私の気持ちが分かる筈なんか無いよ!」。このハルカの発した台詞は、今まで本当の家族になるつもりで接して来たスパイク君にはショックだったでしょう。でも、スパイク君はそれでもハルカ様を守る為、そして、ハルカ様のご両親の意志をハルカ様に分かってもらう為に諭します。ここは、原作よりも深く、そして丁寧に描かれている場面で、スパイク君を演じる石川寛美さんの熱演も相俟って大変良いところでした。 ハルカ様だけでなく、こういったその場の「空気」の様なものが、印象深い場面を生むんだなぁと改めて感じました。ちなみに、原作ではスパイク君の説得で目覚めたハルカ様でしたが、アニメ版はそれでも動かなかったハルカ様をスパイク君が強引に連れ出すというハルカ様にも大きな違いがあったりします。 ハルカ様のご両親が初登場でしたが、こういうご両親の許で育ったからこそ、ハルカ様の様な優しく素直な娘さんになったのだなぁと感じました。だからこそ、ハルカ様が本当に両親を愛していたと思えるので、今回の話は余計に泣けてきてしまいました。それにしても、原作もそうでしたが「36度。120kgの物体」というのは、具体的すぎてインパクトが強い表現だなぁと思いました。 間もなく大津波がやって来ます。ハルカ様は悲しみのどん底から立ち直る事が出来るのでしょうか? その辺りの演出を楽しみにしたいと思います。 |
●放映データ | |||||
話数 | 10 | サブタイトル | 「真実」 | 放映日 | 1998.12.14 |
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絵コンテ | 阿部雅司 | 演出 | 阿部雅司 | 作画監督 | しまだひであき |
原画 | スタジオ九魔、近橋伸隆、中川義久、高橋博之、滝 吾郎 | ||||
動画 | BEAU Pro.、小林和人 | ||||
ゲストキャラ | ハルカの父:安井邦彦、ハルカの母:山口由里子 |