◆今回の見所、感想等◆

 オープニングに出ていた5人目を予感させるキャラ「大鳥居つばめ」の初登場。しかも、竜我崎校長と知り合いであるシゴーニュが連れて来た少女であり、「我々のアニマ・ムンディ」と竜我崎校長は言いました。さぁ、これはどういうことなのでしょう? そして、冒頭の世界大戦の場面と、それを見ていた2人の人物。1人は、竜我崎校長と同じ声ではあるものの、その姿は全く違う…。さぁ、伏線が少しずつ出てきましたね。アバンタイトルなんて、違う番組の様でしたし(笑)。
 見所は「大鳥居つばめ」の来日、竜我崎校長とシゴーニュと呼ばれた男との関係、そして、明確にされたシューティングスターの正体と竜我崎校長との関係があります。「黒いディーヴァ」に関しては未だ明確にはされていませんが、もう想像は出来ますよね?(笑) その辺りを整理しながら、物語の主軸を追い掛けて行きましょう!
 刺客3人衆のアルヴァタールに代わる新たな力、アポストルス(アシュタロス:圧倒的なパワーと火力、アスモデウス:超高出力レーザーによる切断能力、ベルゼヴブ:可愛いくるっくちゃん(笑))の登場も重要ですね。シューティングスター曰く、これは「禁じられた力」らしいです。
 攻略ポイントは、「(”もうこの地の何処にも楽園は無い”に対し)いや、1つだけある(と言って空を見つめる)」、「覚醒、エリヌース」、「祭壇都市の名に相応しい混沌の様相。正しくソドムとゴモラ」、「相応の時間は費やした。降臨の準備はまもなく整う」、「アニマ・ムンディ達に万一の事があれば、我等の悲願は二度と叶わぬのだぞ」です。
 
〜 私の選んだ、今回の1枚 〜

可愛い「くるっく」ちゃん!(笑)
●勝手にデータ!
オンエア作画レベル
(「優、良、可、不可」で表記)
リテイク率 65%
シリアス:ギャグ比率  9:1 
お勧め度(5段階)
(「5:高〜1:低」で表記)
重要度(3段階)
(「A:高〜C:低」で表記)
「恋ねば」回数
特筆事項 挿入歌「朱 -AKA-」
◆今回のすずめ語録◆

No. 台詞 発声箇所 説明
元気の無いひばりちゃんなんて、クリープ現象の無いトルクコンバーター付きの自動車みたいで御座いますですわ。 5分23秒 「王子様」だと思っていた人が敵であった事を思い悩むひばりに対して言った台詞。つぐみも「深すぎて笑えないよ、そのギャグ…」と言うくらいに、その喩えが一般的ではないところがすずめ流。
ちゅーん? 5分45秒 駆け出すひばりを見て言った台詞。「どうしたのかしら?」と同義。数多くの「ちゅーん」バリエーションの中でも定番と言える使い方とも言える。
お子様向け番組なら、そろそろ幹部交代のところで御座いますですことよ。 10分47秒 やられてもやられても現れるブラッドファルコンに対して、嫌味を込めて言った台詞。ある意味分かり易い喩えとも言えるが、その王道と言える展開を知っているというのも凄いといえば凄い。全く想像も出来ない様な言い回しを普通に述べてしまうことこそ、すずめ流の標準形式とも言える。
ペカっと参上、ペカっと解決! 12分19秒 ディーヴァ降臨の後、チーム名を名乗る前口上のすずめ担当分。この時のポーズも含め、あまりにも「怪傑ズバット」と酷似しているところから、「お子様向け番組」と言いつつ、すずめ自身が好んでいる可能性も有ることを示している。しかし、この時代まで語り継がれているとは凄い(笑)。
絶体絶命のことで御座いますですわぁ! 17分13秒 アポストルスに窮地に立たされた時に叫んだ。極々当たり前の言い回しではあるが、わざわざ「絶体絶命」と叫びながらも「で御座います」を付ける余裕があるというのは、すずめ流だからかもしれない。
んなこと出来るかボケぇっ!!で、御座いますですわ! 17分44秒 散々下品な言い回しをして、それを上品に打ち消す、すずめ流の基礎の1つ。「御座いますですわ」を付ける前の下品な言葉が凄ければ凄いほどこの効果は絶大であり、すずめ流としての意味を成す。

 新しいパターンはありませんが、比喩表現の最上級とも言えるものが登場しました。このレベルのものを使うのは大変かと思いますが、普段から色々な事象の結び付けを怠らなければ、使いこなせるでしょう。その他、ヒーロー番組からアレンジして使った前口上など、そのアレンジの仕方にもすずめ流の難しさが表れている様に思えます。
 
◆デスクロウの文学的表現◆

  • 恐怖に脅える哀れな小鳥達よ。今まさに羽ばたかんとする我等の華麗なる姿をその目で見るがよい。
  • 我、信じられず…
  • 驚愕の炎の中の黒い影…
 数は多くありませんが、やはり日常的な会話では出てこない言い回しですよね。でも、格好良く決める場面でのキッチリした台詞なので、今までのものと比べても印象深いものがあります。
 
◆オンエア vs. リテイク 〜 勝手に選んだ5つ10の場面◆

No. オンエア版 リテイク版 場面説明
冒頭、科学を戦争に利用されたことに愕然となる、「王子様」に似ている人。オンエア版の顔は全く違う人(しかも、全然愕然としていない)に見える上、この後の空を見上げるまでの動きが滅茶苦茶です。
空港に着いて、車に乗り込むシゴーニュとつばめ。オンエア版とリテイク版では乗る順番が異なっています。この後車から降りるつばめを見れば、リテイク版の順序が正しいというのが良く分かりますよね。
ひばりの元気が無いのを気に掛ける3人。顔だけ全てリテイクされています。特にかもめとすずめの表情は大きく(?)異なっているのが分かります。オンエア版のすずめの表情は面白いのですが(笑)。
シゴーニュを迎えた竜我崎鷲羽。自分が座ろうと移動する時の歩き方が、オンエア版はどう見ても変ですよね?(手、このままなんですよ(笑)) リテイク版をそれを直すだけではなく、カメラ位置も変更しているのがポイントです。
「子供は嫌い。馴れ馴れしいから」というつばめ。オンエア版のつばめは、あんまりにもあんまりな気がしますよねぇ? つぐみやかもめの「…」な作画も、リテイク版は差し替えています。
突如現れたアポストルスを見る3人。同じ驚く表情でも、オンエア版は何か間抜けですよねぇ? ここは顔だけではなく、全体に手が入っています。直す方も大変でしょうね。
テツロー(=アテナ)を呼ぶつぐみ。見ての通りで、カット割りは同じでもその表情の良さが全く違うのが分かるでしょう。この後のすずめも同様のカットがありますが、同じように差し替えられています。
爆炎の中を歩いて来る黒いディーヴァ。その恐ろしさを雄弁に語るのは、リテイク版の方ですよね。オンエア版は(爆炎も含めて)とても安っぽいです。
すずめ達の方を見る黒いディーヴァ。表情としてはオンエア版も問題無い様に思えますが、塗装や作画を見ると、やはりリテイク版の方が良いですよね。こうしてみると、顔のアップは殆ど差し替えられているのが分かります。
10 アキハバラ第参中学校へやって来たつばめ。オンエア版の作画は酷くはないものの、光源の位置を考えると、光の当たり方が変です。「アキ…ハバラ…」とつぶやく表情として、感情が無い様に見えるのはリテイク版の方だと思うのですが、どうでしょうか。

 今回は「大鳥居つばめ」の初登場ということもあって、良い作画となっているかと思えば、良いとは言えないものでした。殆どのカットが「ぎりぎり」というもので、”不可”に近い”可”です。リテイクされて随分と良くなっているのは上にある通りなのですが、それでも少々「う〜ん」の部分もあったりするのは、作画の好みというのもあるので、ここでは触れません。
 しかし、これだけ多く差し替えられているのは、もはや「修正」よりも「作り直し」に近いですよね。これを見ると、「取り敢えず放映に間に合わせた」という感じがしないでもないのは、残念なところでもあります。ただ、これだけキッチリ修正してくれているのは、ある意味嬉しくもありますね。「商品」としてのレベルを考えれば、当然と言えば当然なのですが(苦笑)…。
 そうそう。今回のオープニングから、つばめのカットが全て修正され、リテイク版と同様(つまり、最終完成版)になりました。
 
◆おまけ 〜この場面って…?〜◆

電脳組 元映像? 検証
元映像と思われる「怪傑ズバット」の前口上シーン。上が「ズバッと参上」、下が「ズバッと解決」のポーズ。対してすずめの前口上は、上が「ペカっと参上」、下が「ペカっと解決」のポーズ。腕の構えだけでなく、指までもほぼ同一なのが分かりますよね。構えの際に、腕の回し方が大振りなのはオリジナルの方ですが、これはカメラ位置の問題ではないかと勝手に考えています(笑)。


●放映データ
話数 12 サブタイトル 「黒いディーヴァ」 放映日 1998.06.20
脚本  山口 宏 絵コンテ 青木哲郎 演出  早川ケンイチ 作画監督 竹内 昭
ゲストキャラ 特に無し
アニメーション協力 ワイズガイ


Back