◆今回の見所、感想等◆

 電脳組4人の生い立ちから現在までを掘り下げる回なのですが、限られた時間の中で、非常に上手く描写されていると思います。「アニマ・ムンディ」というのがどんな娘達のことを言うのか、何故この4人が選ばれたのかが感じられるのではないでしょうか。
 見所は全部でしょう。それぞれの4人の現在は、昔になにがあったのかを見ると全て納得出来るものがありますし、それによって深みが増す分、それぞれのキャラクターへの愛着も湧いてきます。ひばり、すずめ、つぐみ、かもめ。私は、皆とても素直で純粋なキャラであると感じられます。私がこの作品を気に入った理由は、この回があったからこそと言っても過言ではありません。偶然にも初めてオンエアを見たのがこの回で、本当に良かったと今では思っています。
 個人的にこの回は何度見ても気持ちが優しく温かくなります。全エピソードの中で最も好きな回です。誰にも偏らずに、全員にスポットが当たったからだと思っています。楽曲の使い方の上手さ、挿入歌「BABY MAYBE LOVE」の使い方、エンディングへの入り方は非常に気に入っています。
 攻略ポイントは、「あの人はもう、俺だけを見ているのではない…。この俺を通して、遥か遠くを見詰めている…」、「僕の…、アニマ・ムンディ…」、「やはり同じだ…。天賦の才、お前の中に流れる血…。」です。
 その他、この回は制服が夏用の袖なしになっているところや、授業参観用に座席位置が変更になっている(この時は、つばめの前にひばりが居る上、窓際ではない)のもポイントでしょうか。  
〜 私の選んだ、今回の1枚 〜

授業参観での作文発表シーン。良い場面です。
●勝手にデータ!
オンエア作画レベル
(「優、良、可、不可」で表記)
リテイク率 0.2%
シリアス:ギャグ比率  1:9 
お勧め度(5段階)
(「5:高〜1:低」で表記)
重要度(3段階)
(「A:高〜C:低」で表記)
「恋ねば」回数 2(つぐみ:2)
特筆事項 挿入歌「BABY MAYBE LOVE」
EDは「”太陽の花”Jazz Ver.」
◆今回のすずめ語録◆

No. 台詞 発声箇所 説明
ちゅちゅんちゅちゅーん☆
ちゅちゅーん☆
3分13秒
7分45秒
場面切り替え時等に使う、意味を持たない「ちゅちゅーん」は以前にも登場したが、今回登場した1つ目は、一種の鼻歌の様に歩きながらの用法であるのは注意。使うタイミングは機嫌に左右されるかもしれない。
モーニンですわ。今朝も9月の分際でありながら猛暑でおますです。 3分17秒 朝の挨拶。「9月の分際」という言い方、「猛暑でおます」という言い方は紛れも無くすずめ流。「残暑が厳しい」という世間一般的な物言いは絶対にしないというのもすずめ流の証か(笑)。
あぁりゃまっ、忘却失念 Forget〜で御座ますか? 4分14秒 似たような意味の言葉を連ね、リズミカルに言うすずめ流。以前にあった「全然、全く、完璧に」と似てはいるものの、用法が異なっている(強調する為に使っている訳ではない)ので注意。結びの「御座ますか?」は「御座いますか?」でないのも注意。
人生、一寸先は闇。何がどうなるかなんて分かったら、ちょちょいのちょいですわ。適当な事をぶちあけて、うっほほーいって片付けちゃえばいいんでござんすよ! 4分21秒 「将来の夢」という作文のテーマについて解説した時の内容。用法もすずめ流だか、その解釈もまたすずめ流と言えよう。「うっほほーい」という表現でその殆どを片付けているところが凄い。結びの「ござんす」は今回初登場。
簡単プイプイでいいんですわ。 4分38秒 「簡単に考えれば良い」という事を、「簡単プイプイ」というノリを重視した物言いに変更している。すずめ流として、「プイプイ」や「プリプリ」の様な用法は一般的なので、使いどころは覚えたいところである。
すっからすっかぺーと忘れ去っておりました。 7分51秒 「すっかり」のすずめ流。より強調された「すっかり」は、非常に感覚的に分かりやすく纏められている。これはすずめ流としては使いこなさなければならない重要な台詞である。尚、後々これは、様々な意味を持つことになるので注意(笑)。
どうせ愚かなUnder Peopleの方共に理解など無理無理プリプリ。夢のまた夢でしょうね…。 7分58秒 「Under People」という表現も凄いが、「方々」を「方共」という表現をするところも凄い。言葉の悪さと上品さが同居した、何度の高いすずめ流。「無理無理」の後ろに「ブリブリ」を付けても意味が通じてしまうアレンジも、高度なすずめ流である。
そうでしたわ! 寝不足はお肌の油断大敵火がぼーぼーでおますですます。一刻も早く、お部屋に戻ってGo to Bedですわ! 8分13秒 「敵」が「油断大敵」に変わるのは良いとして、「火がぼーぼー」と付け加えて危険度を上げているところは難度の高いところ。「Go to Bed」という英語表現で締めるところも、すずめ流としての完成度を高くするのに一役買っている。
道に迷うなんて日常茶飯事、御茶の子さいの国さきたまの丘でござりんすですわ…。 8分26秒 「日常茶飯事です」で終われる表現を、全く不要な表現を付け加える事によって難しくし、それでもリズミカルに語るという、超難度のすずめ流。「御茶の子さいさい」と付けるだけでなく、「さいの国さきたまの丘」へ繋げるところは、そう簡単に出来るものではない。ここまで使いこなすのには、6年はかかるだろう(笑)。
10ぢゅぢゅーん!? あったま悪そうな男と、あったま悪そうなお付き合いをしておりますなぁ! 我が姉ながら、情けないざんすですわ! 8分50秒 夜、庭で男と話す姉を見て、ガラスにへばりついて言った台詞。「ちゅちゅーん」の濁りバージョンと、「あったま悪そう」という表現に怒りを隠しているところが難しい。結びは定番になりつつある「ざんす」。すずめ流は何でも「で御座います」という訳ではないのが分かる。
11毎度のことですます。お仕事べったりーの授業参観など冗談プイプイ! 来やしませんですわ。 17分00秒 「べったりーの」という現代用語を遣いつつ「冗談プイプイ」という表現を取り入れる、すずめ流の標準形。「来やしません」と言い放ち、「ですわ」で締めているところも標準形。
12always 欠席、慣れっこちゃんでおます。 17分12秒 「いつも」をわざわざ alwaysに置き換え、更には「おます」で締めるところがすずめ流。「おーるぅえぃーず」と、発音するところもすずめ流なのかもしれない(笑)。「慣れっこちゃん」という言い方も流れの中でしっくり来るのが凄い。
13狂暴な娘に狂暴な母親。この世の生き地獄で御座います。 18分15秒 つぐみの母親が間違えて教室に入って来た後、「カッコいいね〜!」というひばりに言った台詞。「この世の生き地獄」という表現は凄いが、こういう感想を素直に述べるところがすずめ流というよりはすずめらしい(笑)。ただ、この表現はすずめ流だからこそ許されるのかもしれない。
14ちゅん? 18分43秒 「何、どうしたの?」という意味。今までも出てきた代表的なすずめ流。久し振りの登場だが、使い方は今まで通りで一安心といったところか(笑)。

 久し振りのすずめ流ですが、ご期待に添って大量放出です(笑)。その量だけでなく、新たな用法や新種、難度もかなり高くなり、ここまでしっかりと復習を重ねていても難しく感じることでしょう。でも、ここがものに出来れば、この後はこれが基本となるので頑張りましょう。頭で理解しようとせず、心で理解するのが上達への近道と言えますね(笑)。
 
◆オンエア vs. リテイク 〜 勝手に選んだ5つの場面◆

No. オンエア版 リテイク版 場面説明
「すずめちゃ〜ん!」と呼び止めるひばり。オンエア版は「新しい生き物」が既に画面右側に居て、すずめと一緒に登校していた様に見えますよね。この後の展開を考えると、これは変です。リテイク版は出て来るタイミングも含めて完璧です。
「凄い車」が校庭に来た場面。オンエア版は、女子生徒が「あれ、桜上水重工のマークじゃない?」と言っているのに、それがどんなマークなのかも分からないのに対し、リテイク版は一目瞭然のマークが入っています。より完璧にする為のリテイクと言えます。
特にありませんでした。暑さで誕生した「新しい生き物」でもご覧ください(笑)。
特にありませんでした。すずめの楽しい表情でもご覧ください(笑)。
特にありませんでした。すずめの楽しいリアクションでもご覧ください(笑)。※数コマ抜いてあります。

 上にある通り、この回の作画は完璧と言えます。リテイクはされているものの、些細な修正なので気が付きにくいところでもありますし、問題無しといったところでしょう。
 気が付かれた方も多いと思いますが、今までの「完璧」といえる回である4話、8話と続き、この回の作画監督は川嶋恵子氏が務めています。そして、絵コンテの担当も桜井弘明氏なので、この辺りが出来の良さを左右しているのかなぁと思います。オンエア時、毎回このクオリティが保たれていたのであればなぁと思わずにはいられませんね。
 それと、今回、つぐみの過去の回想のところに出てきたアベックの会話が、オンエア版の方が長いというのも面白い変更点です。「どこにあったの、そんなでかラジカセ?」から始まるのはどちらも同じなのですが、「だっさーい」で終わるリテイク版に対し、オンエア版はその後に「…そぉ?」「うん」という会話があります。リテイクする理由が見つからないので、もしかしたら変更したのではなく、入れ忘れたのかもしれませんね(笑)。
 
◆おまけ 〜この場面って…?〜◆

電脳組 元映像? 検証
腕が伸びる演出。これは以前にもありましたが、「腕を伸ばして人を捕まえる」というところから強引に並べてみました。並べたのは「ブルーシード」から草薙護の腕伸ばしですが、つぐみと同じですよね(笑)。ということは、つぐみは「荒神」だった…というのは冗談です(爆)。
 
◆おまけ2 〜これぞ爆裂演出!(笑)〜◆

左上から右下までの所用時間は1秒弱!!(笑)
★正に「1フレーム1コマ」な演出。こんな楽しい演出が光るのも、「電脳組」の魅力と言えましょう。普通に観てると殆ど気付かない部分への拘りに拍手ですね。


●放映データ
話数 16 サブタイトル 「アニマ・ムンディ」 放映日 1998.07.18
 脚本  山口 宏 絵コンテ 桜井弘明  演出  高橋 亨 作画監督 川嶋恵子
ゲストキャラ 特に無し
アニメーション協力 J.C.STAFF


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