一族の業と豪和を背負う者、宿命の名受け嵬に交わる ―――
彼の者、名をユウシロウ。
鬼を役する異能を継ぎ、我を求めて戦場に赴く。
序文 |
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監督としては「蒼き流星SPTレイズナー」以来の高橋良輔氏が放つ、98年秋の新番組がこの「ガサラキ」です。
私は「太陽の牙ダグラム」「装甲騎兵ボトムズ」「機甲界ガリアン」と、氏が監督を務めた作品群が非常に好きなので、今回の「ガサラキ」にも過度の期待を込めて第1回放映に臨みましたが、もう「わけが分からない」「難しい」という声も何のその。「これ、これっ! この感覚だよ!」と大変気に入ってしまったわけなんですよ(笑)。 回を追う毎に色々欠落していた謎が埋まって行く満足度。展開が楽しみとなる物語。それぞれ個性的且つ魅力的な人物。そして、ロボットものとして注目を浴びつつも、ロボットは演出道具の一つに過ぎない姿勢を貫く高橋良輔氏の描く世界は、私の中で久し振りに(ボトムズ以来?)「来週の放映が楽しみだなぁ」と思わせるものでした。 |
次回予告の内容を抜き出してみました。雰囲気は伝わるのでは?
ちなみに、赤い太字がサブタイトルになっているんですよぉ〜。
話数 | 内 容 | スタッフ | ||||||||||||
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1 |
ただひとつ 嵬の嵬たる 証にと 石の舞台に 足打ち付けぬ |
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2 |
昨日、今日、明日さえも、 霞の中に浮かぶ影絵の様に手応え無く、 不確かで頼りなげに見えていた僕の日常。 だが、霞を払う様に風起こる。 千歳なる 淵の淀みに 風起こる さざ波渡る 水の序ノ舞 鼓は打たれた。 |
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3 |
戦場へ行く。 それがどんな意味を持つのか、今の僕には皆目見当が付かない。 だがそれは紛れも無い事実だ。不安が無いと言えば嘘になる。 雨風を 占いけるを 天気輪 明日を音に問う 心細さに 金輪の音に明日は見えるか。 |
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4 |
砲声が止んだ。 乾いた大地。渡る風。いきなり五体が鷲掴みにされた。 手が、足が、意識が、抗い様の無い力に導かれてガサラを舞う。 現なる ときの流れの 間隙に 我身あやつる 蜃気楼見る 僕の中に僕の知らない僕が居る。 |
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5 |
何だ、この胸騒ぎは。何だ、この切なさは。 戦場の閃光と硝煙の中を突き抜ける、あま悲しい激情。 鎧われて 確かとは見えぬ 君なれど たがいの傷に 接触た感あり この胸、懐かしさが締め上げる。 |
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6 |
来るべくして来た。逢うべくして逢った。 そう、これは仕組まれた再会。 だが、何のために・・・。 誘われて 地下迷宮に 再会す 想いは踊る 操り人形に似て 俺は彼女を知っている。 |
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7 |
黄色い大地に陽が落ちる。 予定された、面会時間の様な出会いは終わった。 振り返れば、重なる闇。 そはミハル 想い残して 帰還する 心の闇に 棲う君の名 戦場よ、さらば。 |
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8 |
帰って来た、日本に。 だが、この居心地の悪さは何だ? この寒々しさは何だ? ここは故郷なのに・・・。生まれた所なのに・・・・・・。 それぞれに 想いあふるる 三界の・・・ 何処も彼処も 火宅なりけり 自分の居場所が見えない・・・。 |
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9 |
俺は死んでいる? 8年も前に・・・。 じゃあ、俺は誰なんだ? 誰に聞けば分かる? 何処へ行けば知れる? 鬼哭石の里の御蔵だと? 仕舞われて 息を潜めし 古の おもいは澱む 御蔵の暗闇 闇の底に佇むお前は、誰だ。 |
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10 |
手足の先から絞られる様に血液が心臓に向かって逆流する。 いや、逆流したのは血液なんかじゃない。 膨大な時の流れ。宿命の源流。 骨嵬なる 胎内廻り 闇廻り 数珠と連なる 連綿の嵬 記憶の破片をばら蒔きながら、千年の時が奔流する。 |
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11 |
無言で駆ける嵬の道。 時々燐光の様に、耳の奥にふと言葉が流れる。 それはいつか聞いた言葉。交わした誓い。 この道を行けば過去に出会える筈・・・。 行き行きて また塞がるる 嵬の道 繋ぐ絆は 如何に在りすや |
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12 |
幾重にも覆われ、何重にも括られ、 漆黒の闇に塗り込められた封印の過去。 仕舞われたものは仕舞われたままで良い。 それにはそれの理由がある筈・・・ 地を穿つ 火線極めて 綻びぬ 積み重ねたる 千年の禁 155mm 榴弾砲が伝承を撃つ。 |
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13 |
豪和ユウシロウという、17年の幻想が消えて行く。 俺は嵬、嵬だと言う。 だが、嵬とは何だ? 嵬とは、何なんだ・・・。 旅立ちに 後振り向いて 今一度 捨てる人をば 父さんと呼ぶ 俺は、俺を求めて旅に出る。 |
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14 |
清冽な瑞々しさもなく、躍動する活力も失った、 夏の終わりの午後の様な愁た日本の水面下で何かが動いている。 時は確実に明日へと歩みを進めているのに・・・。 綾かなる 過去へ向かいし 嵬の道 同行二人 病葉を踏み 僕達だけが、昨日へと向かう。 |
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15 |
華も嵐も喩えてあらん、人がこの世の儚さは。 人が生きた証は、その死を以って葬り去られるがこの世の倣い。 生まれ来る生が新たな歓びを詠う為・・・。 嵬と嵬 閾に入りて 今ぞ見る 我が源の 蒼き哀しみ 私達嵬は、忘却さえも許されない。 |
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16 |
私は1人だった。1人でいつも、兄様だけを見つめていた。 そして、ある日気が付いた。 私が見ていたのは、兄様の背中だけだったのに・・・。 我を灼く 宿業の火や 古都の空 修羅と染め抜き 夜叉と照り映え 千年前、我は閾に心を埋めた。 |
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17 |
時の重みに耐え兼ねて ミハルの心は閉ざされた。 俺達は町へと逃げ込んだ。 その町は、昨日と明日との境目を持たず、 諦めと希望が混在し、善と悪との色分けも無かった。 混沌の アジア極まる 十字路で 過去と今とを 負いて佇む その町には磁場がある。 |
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18 |
ミハル、目を覚ませ、心を開け! この臭い。このざわめき。ここには確かな人間の営みがある。 だが時のうねりは、確実にその波動を寄せる。 滾りたつ 世に背を向けて 裏窓の ガラスの曇り 頼みて潜む いつまでも、この温もりの中に身を沈めていたい。 |
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19 |
人と人との縁の不思議。 何故に巡り会い、何故に庇われ、何故に導かれるのか。 別れは突然にやって来る。非情、過酷、理不尽。 義にて逝く 人の最期を 目に刻む 暗き海原 慟哭を吸い 人は、こんな事をも認めなければならないのか。 |
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20 |
それぞれの想いがある。それぞれの願いがある。 惑い、悩み、自問する。歩いてきた道。目指す明日。 それぞれがそれぞれに決意する。それなのに、この俺は… 動乱の 時代のうねりの 直中で たった一人の 面影を追う この気持ちを止められない。 |
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21 |
人を巻き込み、人に甘えて、闇雲に走る。 美を弁えず、結果も知らず、ただ暗黒の水道を行く。 追って追う 全ての法を 踏み越えて 疾走る心の 赴くままに 出口が見えない。 |
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22 |
絶対の虚無が、圧倒的な熱情が、何もかも飲み込もうと本流する。 その激しさは、その悲しさは、この世の全てを一瞬の泡沫へと変える。 向き合いて 想い投げ合い それと見る 捕らわれし心 権化とぞなる 誰の心も乾いている。 |
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23 |
心を開け、ミハル! 心を閉ざしても、悲しみは消えない。 たとえ千年の記憶を持とうとも、俺達にも明日はある。 変わらぬ時など無い、変えられぬ運命など無い! 我が叫び 無間の闇に 立ち竦む 凍てる心に 響きあれかし 戻って来い、ミハル! |
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24 |
鉄が軋み、鋼が鳴く。 コンクリートとプラスチックの戦場に、砕け散ったガラスの雨が降る。 理非はどうあれ時は来た。 その存在が、不退転の状況で試される。 激しくも 哀れ空しい 句読点 撃ちてし止まむ それぞれの秋 これがTA戦だ。 |
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25 |
千年、いや、万年の漂流から今帰る。 自分の時、自分の生を生きる為。 無窮の力も、永遠の生命も、幻想に過ぎない。 人は人として生まれ、人として死ぬのだ。 餓沙羅なる 遥けき便り うち捨てむ そは呪われし 回文にして |
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