◆今回のハルカ様◆

 カナト君が恐い夢を見て汗だくになって飛び起きた時に、朝食を運んで来ていたハルカ様。その様子に驚き、言葉を掛けるハルカ様は、ちょぴっとお姉さんな感じがしました。
 カナト君が混乱していて、ナイフを手に持ちスパイク君に向けた時、「やめて!」と涙を浮かべて懇願するハルカ様でしたが、この時の涙の理由は明確に捉える事が出来ませんでした。ただ、ロボットさん達に対して、その憎しみが消え去らないカナト君への「どうして分かってくれないの?」といった気持ちはあるだろうということは言えそうですね。カナト君が来てからというもの、色々ハルカ様もお悩みになっているということが感じられました。
 カナト君のお母さんの再生可能だったメモリを復旧させ、それをカナト君に見てもらいたかったハルカ様は、1人にしておいて欲しいと言うカナト君を無理矢理引っ張って行きます。そのお母さんの姿を見たカナト君は、その場を去ろうとしますが、ハルカ様は「私のママには天国でしか会えないから…」と、涙声でカナト君に訴えかけ、その気持ちを受け留めたカナト君はお母さんに会うことになります。この時のハルカ様は、表情も言葉も印象に残っています。
 折角再会させてあげられたのに、その後にどうすることも出来ないということを知ったハルカ様は、カナト君の気持ちを察して辛い気持ちになります。自分のした事が正しかったのかを、自分自身に問い掛けていたのかもしれないなぁと感じました。
 
◆今回の堀江由衣さん◆

 殆ど出番の無かったハルカでしたが、どうしても母親と再会して欲しかったカナトを説得する場面は印象に残りました。「私のママには、天国でしか会えないから…」というのは、その時のハルカの心情を考えれば、辛いものはあったと思いますが、悲しみから逃げずに自分でその事実を受け留めたハルカにとっては、「自分が母親に会えない悲しさ」よりも「カナトには母親と会えるチャンスを放棄しないで欲しい。後悔しない為にも」という気持ちが強かったでしょう。それが、短い台詞の中にもそう感じられるものがあったのは良かったと思います。
 最後の、カナトの母親が残りのメモリを再生させた時点でもう再び起動させられない事実を知ったハルカの、呟く様な言葉も印象に残っています。「再び母親と会える」という喜ばしい事が、一瞬にして「もう2度と会えない」という悲しい事実をも引き起こすということを知った時、何よりもカナトの気持ちを察して悲しんだハルカの気持ちが、多くを語らずとも感じ取れました。良かったです。
 
◆今回の見所、感想等◆

 今回はまたまたカナト君が主役の回でした。冒頭からカナト君が見た悪夢から始まり、カナト君の心の中で「母親」というものが常に生き続けていて、ロボットだったという衝撃がどれほど影響があったのかという事も良く伝わって来ました。
 トリガー君の出番は無く、アンジェラさんやスパイク君、リーブスさんやクレリック先生までも殆ど出番が無いという今回。誰が一番多かったかというと、これはカナト君のお母さんだったりします。それだけ、カナト君へ向けたメッセージと、それを受けたカナト君の心情描写に力を入れた回だったという事です。それだけの事はあったと感じています。後は、今後のカナト君が気持ちに整理を付けられるか、そして、ハルカ様がカナト君に対してどの様な言葉をかけるのかが気になるところです。
 それと、今回に限った事ではないのですが、演出的に毎回短い時間の中で何を活かし、何をテーマとして行くのかが難しいとは思いますが、どうも歯切れが悪いというか、次回への期待感を持続させるのが上手くないと感じる事が多いですね。原作では続いているからこそ得られる感動がある部分も、1週間という時間が空いてしまう事によって、何か物足りない様に感じるのは勿体無いなぁと思います。残すところ僅かとなった放映話数で、「観て良かったぁ」と思えるものになって欲しいです。


●放映データ
話数 19 サブタイトル 「再会」 放映日 1999.02.22
絵コンテ 二村秀樹 演出 阿部雅司 作画監督 谷 圭司
原画 笹嶋啓一、山岸徹一、中村 基
動画 Lee Pro
ゲストキャラ カナト:今井由香、カナトの母:佐久間レイ


Back